バルトリン腺嚢胞
「バルトリン腺」とは性交時などに、滑りを良くするための分泌液を出す分泌腺です。膣の入口の左右にあります。
その開口部が詰まることで外陰部が腫れてしまう状態を「バルトリン腺嚢胞」、細菌に感染して腫れあがり膿がたまると「バルトリン腺膿瘍」と呼びます。
原因
大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌の感染によって発症します。
症状
- 膣の入口の一部がボールのように腫れる
- 腫れた部位の痛み
腫れがひどくなると、歩いたり立ったり座ったりする時にも支障をきたすようになります。
治療
抗生物質や消炎剤を服用していただきます。
膿が溜まっている場合は、穿刺や切開によって、排膿したり開窓術や造袋術を行います。(開窓術や造袋術が必要な場合は他の医療機関をご紹介いたします。)
毛嚢炎(もうのうえん)・毛包炎
毛穴の奥の毛根を包んでいる「毛嚢(毛包)」に炎症が起きる状態です。
病態はニキビと似ています。
原因
黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの感染によって発症します。
どちらも元から人間の身体にいる常在菌ですが、毛穴の傷つきなどをきっかけに炎症が起こるようになります。
ヒゲを剃った後、脱毛した後に現れやすい炎症です。
症状
- 毛穴のブツブツ
- 毛穴周りの赤み
- 押した時の痛み
上記の症状は、毛穴のある部位でしたらどこにでも起こり得るものです。
特に顔面や胸、ワキ、首の後ろ、太もも、お尻などにできやすい傾向があります。
かゆみは伴いません。
治療
痛みを伴う、たくさん発生している、広範囲に発生している場合などは、抗菌薬の処方や外科的処置などを選択することもあります。
軽度でしたら自然に排膿して治ることも多いです。
性器ヘルペス
性行為を介して、「単純ヘルペスウィルス(HSV)」が性器に感染することによって発症する疾患です。初感染した後は神経を伝って体の奥の神経節に潜んでしまいます。。そのため免疫力が低下すると、ウィルスが活性化し、再発を繰り返すようになります。初めて感染した場合、2~10日間の潜伏期間を経てから発症します。
症状
初発型(急性型)
初感染時に、強い症状を伴う傾向があります。
外陰部の激しい痛みや排尿痛、鼠径部(そけいぶ)のリンパ節の腫れ、痛みなど、外陰部に痛みを伴う水疱(水ぶくれ)が起こるようになります。
水疱は簡単に破裂し、潰瘍を形成します。
発熱や頭痛を伴うケースもあります。
再発型
再発した場合、症状は比較的軽度で痛みも強くありません。
違和感やかゆみ程度であることが多いとされています。
疲れた時、生理が近づいている時に、発症しやすくなる方が多くいらっしゃいます。
注意点
痛みや潰瘍などの症状が見られる場合は、感染力が強い状態ですので、他者に感染させないよう気を付ける必要があります。
入浴時に使ったタオルなどは、共用しないよう注意しましょう。
尖圭コンジローマ
性行為を介して、「ヒトパピローマウイルス」に感染することで発症する疾患です。
3週間~8ヶ月(平均3ヶ月)の潜伏期間を経てから、症状が現れます。
症状
外陰部や会陰(えいん)、肛門周囲などに、イボができます(イボは痛くありません)。
イボが集まると、カリフラワーのような形になります。
その他の症状としては、かゆみ、ほてり、性交時痛などが挙げられます。
治療
塗り薬を塗り続ける必要があります。
それでも改善しない場合は、焼灼治療を選択します。
注意点
一度治癒した方でも、約25%が3ヵ月以内に再発すると言われていますので、注意が必要です。
Q&A
Q.何かが外陰部にできています。
これは性感染症によるものなのでしょうか?
性感染症によって発症する場合と、性感染症以外の原因で発症する場合があります。性感染症以外の原因としてよくみられものとしては、外陰部に存在する細菌の感染による毛嚢炎があります。毛嚢炎になると、外陰部のできものを自覚しやすくなり、痛みなどの自覚症状も伴います。
性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどの性感染症が原因の場合は、病院で治療が必要ですので、心当たりのある方は必ず、当院を受診してください。
Q.下着に血が付いていました。
「できもの」があるような気がして心配です。
生理や不正出血などの出血ではないようでしたら、毛嚢炎が自壊した(自然につぶれた)、などの可能性がありますが、外陰部の病気が性感染症なのかどうかは自分で判断がつかないこともあります。
お気軽に当院までご相談ください。
他にもこのような症状で
お悩みではございませんか?
- 血尿が出た
- トイレが近い
- トイレに行く回数が多い(頻尿・夜間頻尿)
- 尿が漏れる(尿失禁・尿漏れ)
- 排尿時に痛みがある(排尿時痛)
- 残尿感がある
- 外陰部の違和感(腫瘤・下に垂れ下がっている感覚)
など
このような症状がある方は、一度当院までご相談ください。